猫の「三大心臓病」とは?
猫の心臓

動物において「心臓」は、生命維持に欠かせない大切な器官。心臓は血液を体内に循環させ、酸素や栄養を供給し、老廃物を排除する役割を果たしています。
人間と猫の心臓は、「構造はほとんど同じ」。違う部分は「心拍数」で、動物は大型になるほど心拍数が少なく、小型の動物になるほど心拍数が多くなります。
猫の心拍数は1分あたり110~160回ほどに対し、人間は60~100回ほどです。

子猫は心拍数が早いけど(100~260回)、正常なので安心してにゃ~
猫はどんな心臓病にかかる?

肥大型心筋症
肥大型心筋症とは、左心室の壁(心筋)が厚くなり血液を正常に送り出せなくなる病気です。
心臓病の中で最も発症が多く、心筋症と診断された猫の2/3はこの病気と言われています。
• 呼吸が荒くなる(口呼吸・息苦しそうにする)
• 食欲不振、元気がない
• 失神(ふらつき)
• 後肢の麻痺(動脈血栓塞栓症)
• 咳やチアノーゼ(舌や歯茎が青紫色になる)
初期は無症状で気付きにくいですが、症状が進行してしまうと足が突然動かなくなったりします。

「肥大型」は大型の猫や、肥満な猫だとかかるリスクが高いにゃ
拡張型心筋症
拡張型心筋症とは、心臓の筋肉(心筋)が薄くなり、心臓の収縮力が著しく低下する病気です。
収縮力が低下すると血液を全身へ循環させることができず、心臓の中に血液を溜めこんでしまい心不全を引き起こします。
- 呼吸が荒くなる(口呼吸・息苦しそうにする)
- 食欲不振、元気がない
- よだれが増える
- 胸水・腹水の貯留
- 後肢の麻痺(動脈血栓塞栓症)
- 失神(ふらつき)
- 突然死
- 嘔吐
同じく初期は無症状ですが、進行すると胸水・腹水の貯留、また重度の不整脈を起こすと失神や突然死を引き起こすこともあります。
拘束型心筋症
拘束型心筋症は心臓の内膜、または心筋に線維化が起きて硬くなることで、心臓が十分に拡張できなくなる病気です。
肺から心臓に血液が入りにくくなるため、進行した場合は心不全(胸水や肺水腫)を起こします。
- 食欲不振、元気がない
- 呼吸が荒くなる(口呼吸・息苦しそうにする)
- 咳をする
- 呼吸困難
- 胸水・腹水の貯留
- 後肢の麻痺(動脈血栓塞栓症)
- 突然死

猫はこの三大心筋症を多く発症しますが、他にも「僧帽弁閉鎖不全症」「心内膜床欠損症」なども発症することもあるにゃ
かかりやすい猫がいる?

- メインクーン
- ラグドール
- ペルシャ
- アメリカンショートヘア
- スコティッシュフォールド
- ブリティッシュショートヘア
- ノルウェージャンフォレストキャット
上記の猫種は、遺伝子変異、または遺伝による心臓病の発症が多く報告されています。
もちろん他の猫種でも発症するリスクはあり、「メス猫よりオス猫の方がかかりやすい」「歯周病にかかると心臓病も発症しやすい」などのデータも報告されています。

高齢による発症もあるので、いずれ向き合うことがあるかも
原因と対策
原因

猫の心臓病は、多くの場合原因はわかっていませんが、「遺伝的要因」とされています。
「拡張型」はタウリン不足による原因とされていましたが、多くのキャットフードの栄養が見直され発生は少なくなってきています。手作りやおやつばかりの偏った栄養では発症する可能性もあります。
また、歯周病も心臓病のリスクを高める要因の一つです。歯周病が進行すると、口の中の細菌が血液を通じて心臓に悪影響を及ぼすことがあります。

高齢になると歯周病になりやすいから、気を付けてにゃ
対策

- バランスのとれた食事(総合栄養食)
- 適切な体重を維持する
- 歯ブラシやデンタルガムで口腔ケア
- 定期的な通院
日頃から適切な食事と運動、歯磨きをすることで心臓病だけでなく、肥満など他の病気のリスクも減らすことができます。また、定期的に通院し、症状が進行する前に気付くことも大切です。
まとめ
心臓は生命を維持するために大事な器官。もし心臓病の症状が現れた場合は、生命にかかわることも。早期に動物病院で相談し、適切な診断と治療(薬物療法や食事療法)を受けましょう。

いつまでも元気でいたいものにゃ~
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